EMレア―その背景と周辺

EMアイテムは全シャードレベルの話になってしまうので、各地域間の差異とか、特殊な事情なんかが問題になってきたりします。加えて、背景として知っておきたいことなんかをここに書いておこうと思います。

地域の事情

アメリカがEMシステムと共に2003年の「旅行者注意勧告」から始まる一連の公式シナリオを展開させたとき、全北米シャードはもちろん同時にこれを進行させました(LegendsとSiege?は後から遅れてついて来たらしいですが)。
欧州シャードとオセアニアもこれに従ったようです。
これらのシャードにはそれぞれEMが配置されていて、彼らは公式シナリオに則ったイベント進行とEMレアの出現を成功させました。
しかし、イベントは 共通であっても、大きく言って北米、欧州、豪州と地域間の差がアイテムに多少反映されていることがあるようです。つまり、EMアイテムは一元管理されているのではなく、それぞれのシャードのEMの独立性が認められているように思われます。
実際、後にEM達は彼らの担当シャード独自のイベントとEMアイテムを提供するようになります。

そしてEMを持たない残りのシャード、日本・韓国・台湾については、これがひとまとめに出来ない状態なのです。
ご存じのように、日本シャードは公式シナリオには同調しながらもシナリオに関係したレアアイテムなどは出ていません。
その代わりに、皆がもらえるタイプのアイテム(アンブラローブや、徳の島わらじや、フィニガンアイテムなど)を採用するやり方で、なるべく大勢のプレイヤーに楽しみの形を提供しているようです。

さて、最後にArirang, Balhae, Formosaの3シャード(以下「韓国系シャード」とします)はEAKorea統括下であるとされており、公式シナリオを採用しなかったそうです(UOHoCより)。
実際に、公式シナリオを採っていれば残っているべきもの、つまり対オークの関門、クリスタルバリアの残骸は見つかりませんでした。
オーク進行イベントから始まる公式シナリオが行われておらず、それに対抗すべきロイヤルガードも編成されていないように見受けられます。
ならば、王の不在にあたって、欧米豪および日本シャードで重要な役割を果たしているエレインとクレイニンもいないかもしれません。
例えば、Fブリテンのロード・ブラックソーン城に彼の棺がないことから、彼の追悼イベントが無かったとか、エレイン達どころかそこに哀悼の言葉を述べに来るはずのロード・ブリティッシュもいないとか、そんなことも推測できます。
その少しあとに虚無空間へ旅立つブリ王のイベントはどうなったのでしょうか…
これがEAKorea独自の方針かEA本家からの指示なのか不明ですが、各ローカルEAの独自の方策が破片世界全体の均一性を保つことよりも優先されうるということを結果的に証明しているように思われます。

ここでさらにややこしいのですが、韓国系シャードには制度上のEMはいないながらもイベントレアが出るのです。
一度、イベントに実際参加したのですが、 シーアなどがイベントを担当すると思ったら、GM Jinsolを筆頭に大勢のスタッフが現れます。「現れます」といいましたが、本当に姿を現わします。欧米系シャード、日本シャードともに、裏方のスタッフが表に出ることは基本的にはありません。現れるとしたら、イベントNPCの姿をとるなどします。つまり、いわばイベントキャラクターというフィルターをかけていて、「生」(なま)のまま出てくることはないということです。
韓国系シャードは、このフィルターが無かったりするので、ある意味スタッフと直接の交流ができます。
これも、効率を優先して、何人かのスタッフで比較的少数のプレイヤーへの対応を可能にするための工夫なのでしょう。
韓国系シャードには、EMはいなかったようで、欧米シャードがEMとEMレアを導入した当初、これは不公平だと何度か不満が出ていたようです。UOHoCでZiloがこれを理解して対処すると発表がありました。2004年6月のUOHoCでは「来月あたり」といわれ、8月の第100回UOHoCでは8月中と明言されました。これは、 SeasonIIIから突然韓国系シャードのレアが大量に登場し出したのと符合します
また、韓国系シャードでは、EMは存在しないにも関わらず漆黒のGMローブを着たシーアや、Ancientというおそらく独自のスタッフが目撃されています。他にもRM(Relationship Moderator)という薄いアガパイト色系のGMローブを着たこれもおそらく独自のスタッフもいるようです。

以上、それぞれのシャード圏が彼らなりの楽しみ、イベントを提供しようとしていることが分かると思います。決してアイテムが出る・出ないだけで判断は出来ません。
追記:2009年3月現在、2008年を振り返れば、日本シャードでは従来考えられなかったほど大胆な通称「スライムイベント」が行われ、一定の成功を収めたようです。
このイベントと似たような全シャードイベントも催されました。更に2009年2月のバレンタインでは、新EMプログラムが本格的に実行に移されました。
どちらも基本的に情報と多少の外国語能力さえあれば誰にでも参加しやすいオープンなものでした。
その一方で韓国系シャードで見られたやりかたは、シーズン4以降アイテムが見あたらないことからも分かるように、しばらく前から中止されています。
プレイヤーとの距離が近いという利点はあったのですが、一部のプレイヤーと「近くなりすぎた」ためだと言われています。
やはりプレイヤーとの距離感は非常に繊細なのでしょう。[2009/03/05]

シャードの事情

EMレアには、偶然かもしれませんが、ある傾向がみられます。
まずは、プレイヤー人口の少ないシャードのEMレアが量が多かったり、強力なプロパティがついていたりすること。これは、たとえばオセアニアやレジェンド、ソノマなど、そしてEMはいませんが韓国系シャードのEMレアリストを見てもらえればわかると思います。量または質、あるいはその両方で目立つものとなっていますね。
レアアイテムの出るイベントは、シャードを活気づかせ、また対外的に存在感をアピールすることになるので、合点がいきます。
追記:一方でこれに対抗する声を受けてか、突如おとなしかったシャードで強力なアイテムが出ることもあり、こうした点にEMの限界が見え始めていたと言えるかもしれません。
というのも、EMはその担当シャードと密な関係を築くべく、また時差の関係も考えなくて良いように、ローカルな人間が選ばれていました。キャッツキルズならニューヨークだとか、 オセアニアならオーストラリア(おそらく東部)などの人間だったわけです。
つまり担当シャードとの関係が深い代わりに、下手をするとシャード間の対抗意識、自己シャードびいきということが起きる危険性があるわけです。
それは結果としてシャードのシンボルとして輝くEMアイテムの強大化に繋がります。
これが邪推に終わればいいですが、新EMプログラムではシャードにローカルな人間を選ばなくなっています。ただ、担当シャードは基本的に固定されています。
今後どうなって行くでしょうか。[2009/03/05]