EM

EMとは、Event Moderator(イベントモデレーター)の略で、イベント進行役といった意味合いの名前です。
日本では紫ネームのNPCを操ってイベントを行うSeer(シーア)が有名ですが、EMが置かれている海外シャードにシーアはいません。
EM以前は、やはり海外でもシーアやエルダー(*1)という人たちがイベント時に活躍しており、たとえばまた後で出てくるkieronによると、エルダーに関しては各シャードに30人いたそうです(Celebrity Chat, UOHoC, 1999より)。毎晩一つ、多い時には三つのイベントを行えたというから驚きです。
数百人いたと言われるこれらのスタッフは、インタレストプログラムと呼ばれるものに参加したボランティア(参考:日本公式ページ)であり、これに対してEMは、基本的に各シャードにたった一人しかおらず、パートタイムでの賃金労働です。ボランティアのシーアと比べると雇用関係が正式に近く、そのせいでより大きな権能を持つのかもしれません。

インタレスト(UO内での楽しみ)を提供するスタッフの数が多ければ、サービスの量は増えますが、反面、連携や管理が難しく、責任の所在もあやふやになってしまいます。
その辺のバランスをとりなおしたのが、EMという新たな試みではないでしょうか。
と言っても、インタレストプログラムのボランティアに頼ってるアジア地域が遅れているとか、そういうことは全くなく、シーアとIGM(インタレストGM)(*2)、そして彼らと連携をとるGMが活躍する日本では、UOSE導入イベント、UOML導入イベントなどの重厚長大な公式シナリオを見事に実行し、単発のほのぼのイベントも発生させてきました。イベントアイテムでごまかすことのできない厳しい進行が要求される中、頑張っておられると思います。

*1激しい戦闘を伴うものではなく、初心者向けの緩やかなチュートリアル的イベントを行っていたようです。日本にもいましたが、現在はシーアに統合されています。勝手にとてもえらい「長老(elder)」だと思っていましたが、イベントを通して色々教えてくれる「先輩(elder)」といった感じを受けます。
*2GMがプレイヤーのサポート業務に専念できるように、イベントでGM能力を発揮する人達です。会場の飾りつけや特別なモンスターを沸かせるなど、シーアには許されていないGM級の高度な能力を持っているようです。

スタッフ

EMの中には、リーダー格のLead EM(以下LEM)がいます。そしてその上にEMプログラム全体を担当するUO Event Program Leadとか呼ばれる人がいますが、これはGMが担当しています。単なる形式上の上司ではなく、EMの権限ではアクセスできない階層の仕事をします。EMプログラムが導入されてるシャードでは当然すでに廃止されてますが、基本はシーアとIGMの関係ほとんどそのままといえるんじゃないでしょうか。
ちなみに、おおざっぱですがLEMとイベントリードの担当者は次の通りです。
2003年ごろ:kieron - GM Zilo
2004年6月頃まで;Nikademus(Atlantic) - GM Zilo
2005年〜:Glamdring(Lake Superior) - GM Zilo
初代LEMのkieronと、二代目Nikademus(以下Nika)は、1999年ごろかそれ以前には、すでにインタレストプログラムのスタッフだった古株です。特にNikaはインタビュー(Zilo & Nika Interview by Markee Dragon)が残ってるんですが、1998年にSeer、後にInterest Volunteer Lead、そして2003年にアトランティック担当EMになり、最後にkieronからLEMを引き継いで2004年6月末ごろ辞任(表明)しました。後任のLEMは、上記の通りGlamdringです。
NikaはボランティアスタッフからEMとなり、kieronも同様に担当シャードは無いながらも初代LEMでした。彼らはボランティア時代の知識と経験を活かし、EMプログラムを軌道に乗せるための橋渡しの役割を担っていたと言えそうです。
二人ともLEMとしてUOSSなどで発言したり、表の顔としての活動の記録が残っています。しかし、他のEMのことはほとんど分かりませんでした。ただ、担当シャードだけは何度か発表されたので二つの時期のEMリストを載せておきます。
Shard - 2004/4/26 - 2004/10/14(左がNika右がCrazyJoeによるUOSSでの投稿日)
Atlantic - Nikademus - Tulkas
Baja - Vincent - (同)
Catskills - Stone - (同)
Chesapeake - Celestria - (同)
Drachenfels - Xena - (同)
Europa - Arilem - Elendrik
Great Lakes - Azaire - (同)
Lake Austin - Nyssa - (同)
Lake Superior - Glamdring - (同)
Legends - Tiberias - Hazel
Napa Valley - Theowulf - (同)
Oceania - Sienna - (同)
Pacific - Jyrra - (同)
Siege Perilous - Ariadne - (同)
Sonoma - Masara - (同)
??? - ??? - Gramdringが存在を認めたEM達: Cerulean, Daeron, Gustus, Leto, Telnar
と言った具合で、データが古くてオリジンのEMがわからなかったりしますが、何かの参考になれば。
あと、一応原則は1シャード1EMのようですが、オセアニアはイベントも多くEMも二人いたことが確認されています。
追記:7/23(日)の昼に行われたというオセアニアのイベントから、現在のEMはSiennaとCeruleanだと分かりました。シェンナ(こげ茶色)とセルリアン(空色)という分かりやすいコンビです。[2006/07/27]

さて、最後にGM Ziloについてですが、Nikaが「EMはGM Ziloなしには何も出来ない」というように、IGMのような能力を発揮したりだけでなく、イベントに必ず同席して監視したり、そもそもイベント自体の実行許可を与えるなど、EA社の代理人のようにふるまいます。Nikaによると、不適切な行動をとったEMで辞めさせられた人もいるということなので、私欲のために職権を濫用するEMがいる、なんていう邪推は控えておかなければなりません。
そんなEMの存在を許しておいたらZiloのクビが危ないですから。

EMレア

今みてきたEMがイベントを通してプレイヤーに与えるアイテムを、EMレアと呼びます。まさにこのサイトでメインに扱ってるものです。
EMレアという呼び方は、単に英語圏で通じるEM Rareからとったということのほかにいくつか理由がります。
もし、「イベントレア」というと、EMが関わってないイベント、たとえば昔のシーアイベントで出現したものも含む語感があります。クエストレアというと、クエスト(何かを探して探索すること)はイベントの一形態にすぎないので、対人トーナメントなどが含まれなくなってしまいます。EMアイテム、イベントアイテム、クエストアイテムと呼ぶのは、既存のバースレアなどといった真正のレアと比べて、レアと認めないぞといった御仁にはしっくりくるでしょうが、レアリティ(希少性)に関してはレアと言えるので、遠い親戚だと思って仲間に入れてやってください。
ということで、単純に思いつくもので、EMが意図して出したアイテムの性格を一番的確に表してるのは「EMレア」だと思うので、当サイトではこれを主に使うつもりです。

韓国系シャードにはEMはいませんが、便宜上まとめてEMレアと呼ぶこともあります。しかし、区別するときは基本は「韓国レア」で通します。韓国レアといっても地域的に台湾であるFormosa産のものも入ってますが、EAKorea管轄下で同じイベントの提供の枠組みであるという点に注目した呼び方なので、そのへんご了解下さい。

EMレアの作成

EMレアは、非常に強力なものがあったり、人目を引くようなものがあるため、その存在が否定的に見られることもあります。では、一体だれが作っているんでしょうか。EMかGM、どちらかが作ったのには間違いなさそうですが、どうもはっきりしません。
開発陣とプレイヤーのパイプ役をしているWilkiが、ガードサッシュの作成方法についてUOSSで発言したところによると、「The sashes are actually created one by one by the EM's.(サッシュはEM達によって実際に一つ一つ作成されているんだ)」とあるので、あぁEMが作っているのかと分かります。
ただ、いくつかの疑問があります。もし本当にEMが「作って」(Wilkiによれば「create」)いれば、 彼らにアイテムを作る能力が備わっていることになります。つまり、EA社所有のリソースにアクセス出来て、ゲーム内に生み出すというGMのような能力が与えられていることになりますね。
EMが力を制限されたものとしてデザインされていることを考えると、個人的にどうかなと思います。
今までに見てきた中で分かってる現象をいくつか書いておきます。推理してみると面白いかもしれません。
  • シャードによっては、同じイベントで出たEMレアの名前などが違うことがある。
  • 特に、たくさん作られたEMレアの中には、スペルミスをしたものがある。
  • しかも同じ間違い方をしたものが、まとまった数存在する。
  • スペルミスはEMとGM二人いて、しかも再確認すれば気づくはずなのにそのまま。
  • 万一EMアイテムに不具合があれば、GM Ziloが対処する。
  • イベントの現場のノリで、余分に配布アイテムを作った例がある。