順序以外の最後の謎、それは実在するかも分からないシャドウアイテム、Pride(傲慢)の在り処だった。

ブラックソーン城屋上のテラサン戦士の言葉
Pride has none and Cynicism has all.
(Prideは何も持たず、Cynicismは全て持つ。)

に一度だけPrideは出てくるが、一度も出てこなかったSurvivalのシャドウアイテムと本が見つかったように、Prideも悪徳のダンジョン以外のどこかに存在するのでは無いだろうか。
実はこのLibramを作る探求の旅は、進行中のクエストとしては、ブラックソーン城に訪れるマルセルによるLibramの審査と謎を全て解いたかの口頭試問を経て、それに合格して彼の手下となる所に最終目的がある。
謎を全て解いたという自信とともに終わらせてもいいのだが、お墨付きがもらえるなら本当に完了の証になるので、それを目指す気持ちで進めているのだ。
それを踏まえて、このときの私達の選択肢はこうだった…

  1. 導入、三原理、全ての結合パターンと内容はそろったはずだから、導入以降の順番は関係なく書けばいい。探求は終わっている。
  2. テラサン城のMEOPAOこそがPrideである。Pride has none、このアイテムがキーワードに反応しないのは当然だ。ヒントなしに城内で本を探そう。
  3. シャドウアイテムが置かれている場所は、適当であるはずがない。その法則を見つけて、Prideを探し出そう。
2番は整合性があり、かなり説得力があった。ただ、どうしてもテラサン城全体を探しても、「本」が見つからなかった。
Prideについての記述を得られなければ、事態は全く進展しないどころか、当ても無く本を探し続けることになる。
しかし、ここまでやってきた私達に、1番の選択肢はあきらめに等しく、ありえなかった。
私達は、次第に3番の選択肢を考えるようになった。
といっても法則とやらがあったとして、それを見つけるまでの間は、捜索の対象がテラサン城どころではなくなってしまう。
ただ、漠然とながら、Prideは徳に反する場所にある、ということだけが脳裏にあった。
彼はそのような場所に、盗んできたシャドウアイテムを隠したのだから、Prideが存在するなら同様の場所に違いない。
コブトス、シェイム、ヒスロス、ロング、それらは全てロードブリティッシュの整えた八徳の反対を象徴するダンジョンだ。
だが、残りのダンジョンにPrideは無かった。
コブトス(貪欲)は壷にもAmbition(野望)にも関係ない。シェイム(汚名)は竜頭にもDetachment(分離)にも関係ない。
ヒスロス(怠惰?)は地球儀にもCynicism(皮肉)にも関係ない。ロング(不正)は皿にもSurvival(生存)にも関係ない。
これだけでは法則は見えてこないし、もちろんPrideも、関係のないところにあるだろう。

探求はここで大幅に停滞したか、放棄されたかもしれない。マルセルが逆転させる前の「徳」というものを確認しようと、ロードブリティッシュ本の『徳』を見つけていなかったら。

There are three Principle Virtues, Truth, Love, and Courage
(徳には三原理の徳がある、真実、愛、勇気だ。)

Truth alone becomes Honesty
(真実は単独で誠実になる)

Love alone becomes compassion
(愛は単独で慈悲になる)

Courage alone becomes Valor
(勇気は単独で武勇になる)

Truth tempered by Love gives us Justice
(愛によって調和された真実は正義をもたらす)

Love and Courage gives us Sacrifice
(愛と勇気は献身をもたらす)

Courage and Truth give us Honor
(勇気と真実は名誉をもたらす)

Combining Truth, Love and Courage suggest the virtue of Spirituality
(真実と愛と勇気の結合は霊性の徳をもたらすだろう)

The final Virtue is more complicated. For the eighth combination is that devoid of Truth, Love or Courage which can only exist in a state of great Pride, which of course is not a virtue at all.
(最後の徳はさらに複雑である。この第八番目の結合に関してこそ、ほどよきPride(自尊心)の状態のみに存在する真実も愛も勇気もすべてが欠落しているのである。そして、この第八の結合は全く徳などではない。)※この反語的な徳は結果的に「謙譲」であるらしい。

以上は、八徳の骨子に関する簡単な抜粋だ。
テラサンの三原理が八徳の三原理に対抗して作られたんだなというのは、探求の始めから感じさせる流れになっていたが、この三原理をもとに、「結合」によって別の徳が作られているなどとは、意識したことがなかった。
Truth=T、Lov=L、Courage=Cとすると、八徳とはT、L、C、T+L、L+C、T+C、T+L+C、-(無し)という、TLCからなる八つの組み合わせなのであり、これはまさにテラサン三原理(Deception=D、Shadows=S、Vengeance=V)のDSV結合と全く同じ構造なのだ。
そして、同時に、テラサンのPride(傲慢)が三原理の欠落で形成されるべきものであり、そのシャドウアイテムと本の実在がかなり現実的となった。

さらに決定的なのは、法則を見つけられなかったシャドウアイテムの場所について、次のような明確な法則を発見したということだ。
正義(T+L)と対になる不正Wrong
献身(L+C)と対になる貪欲Covetous
名誉(T+C)と対になる汚名Shame
霊性(T+L+C)と対になる怠惰Hythloth
これら四つは、まさにそれぞれにシャドウアイテムが隠されていたダンジョンなのだ。
正義(T+L)の反対となる場所にSurvival(D+V)が、
献身(L+C)の反対となる場所にAmbition(S+V)が、
名誉(T+C)の反対となる場所にDetachment(D+S)が、
霊性(T+L+C)の反対となる場所にCynicism(D+S+V)が、
それぞれ対応していることから考えると…
Truth(真実)にはDeception(欺瞞、うそ、だますこと)、
Love(愛)にはVengeance(復讐、慈愛の心の欠如)、
Courage(勇気)にはShadows(闇、隠れること、隠すこと)
というように、結合要素の対応どころか、意味まで通るようになる。
ともかくPride(傲慢)は、謙譲と対になるダンジョンにあるはずだ。

だが、快く答えへと向かっていた謎解きの流れは、急にせきとめられることになった。
ダンジョンを全て回っていながら、八徳に対応するダンジョンの八つ目今から行けるわけが無かった。ダンジョンは七つなのだった…
謙譲と対になるダンジョンがないのである。
計算された徳の概念の完全さに穴が開いたようなこの妙な事態に、謙譲に反する場所さがしが始まった…
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