ダンジョンWrongは、ヒントに出てきていないSurvivalがおかれていた場所だ。
もしかしたら、その名の通りここはwrong(誤り)でダミーなのではないかとさえ思われたぐらいだ。
しかし、今は私達にとって、残されたDeception+Vengeanceの結合を託された希望の場所になっていた。
もしSurvival=D+Vなら、Sのヒントが不要になる。

Deception:それはこのダンジョンの第二階層にある
Vengeance:それは比較的安全な場所の西側に向かって見つかる。

おそらくそこに本があるであろう場所の「正しい」探し方は、現地捜索班の経験からもう見当がついていた。
三原理が結合した概念について書かれている本の場所は、その結合する原理それぞれのヒントに「共通」の場所だったのだ。

「Cynicismは全てを持つ」…Cynicismの本は、全てのヒントが重なり合う場所におかれていた。三原理の結合はD+S+V。
「DetachmentはVengeanceを持たない」…Detachmentの本は、DとSのヒントが重なる場所にあった。三原理の結合はD+S。
「AmbitionはDeceptionを持たない」…Ambitionの本は、SとVのヒントが重なる場所にあった。三原理の結合はS+V。
(※Ambitionは海外でいうlevel 5(第五階層)にあったが、これはロッティングコープスの拷問部屋を第四階層としているからで、実は両方第三階層からひとつ降りたところには違いなかった。よって、階層としては第四階層といえる。)

このように、三原理の結合で生まれる概念についての本は、結合する原理に対応するヒント全てに共通する場所に置かれているのである。
この結合方法と推理が正しいことは、そのつど見つかる本が保障してくれた。
Wrongの第一階層から「第二階層」へ一度だけワープし、ジュカやゴーレムのたむろする部屋の隠し扉を抜け、「比較的安全な」裏手を「西へ」回ると、壁の裏に本が隠されていた…

Title: Survival
(『生存』)

Author: Marcel
(マルセル著)

"From combining Deception of others and a need for Vengeance, comes the need to Survive.
(「他者のDeception(欺瞞)をVengeance(復讐)への欲求と結合することから、Survival(生存)への欲求が生まれる。)

Survival is beyond good or evil or any other consideration.
(Survival(生存)は善、悪またはその他の思慮深い考えを超越している。)

If you serve another, serve faithfully, lest they turn on you with Vengeance.
(もしお前が他者に仕えるなら、しかも忠実に仕えるなら、善や悪などのつまらぬ考えに、Vengeance(復讐)で襲われることがないようにしろ。)

It serves you to serve without question and await your opportunity to advance.
(Survivalはお前が疑問をはさまずに仕えることに奉仕する、そしてお前が前進する機会を待ち構えている。)

Put yourself and your allies above all others."
(お前自身と、同士達を最優先するのだぞ。」)


やはりSurvivalは、D+V結合だった。
Survivalとは、単に生き残るのではなく、疑問を挟まずに主に仕えつづける強靭さのことのようだ。
善や悪など判断に思いをめぐらせるとき、我々はふと立ち止まる。そんなものは復讐の黒い炎で消してしまえ、忠誠の道を邁進しろ。
と、いうことらしい。
この概念は、マルセルが蜘蛛達を支配するための都合の良い思想にも見える。
ヘイブンにいた予言者の「心配」を思い出してしまった…
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